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井の中の日本、ドイツを知らず

誰もが知る車メーカーであるメルセデス・ベンツを生み出したドイツ。その背景には数学力があります。どうしてドイツはベンツを生み出せたのか?その背景を解明することで、実生活における数学の魅力をより高めるべく、我々は数学教育の奥地へと足を踏み入れました。そこにあったものは、、、

 

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ドイツに留学中の中村さんがドイツの数学教育の特徴をオンラインイベントで紹介してくれました。それを基に日本とドイツの数学教育を比較し、ドイツの数学と工業力の秘密を解明しましょう!

 

まずは実際の試験問題を比較し、その問題がどのようなカリキュラム、教育方針のもとに生まれたのかを紐解いていきます。

実際に出題された問題を見てみましょう。

 

中村さんの発表スライド
引用元 2019年 センター試験ⅠA

 

これらの問題は、二次関数の知識を問う点では共通していますが、意図や問われ方に違いがあります。日本の問題は式計算や捉え方に重点を置いている一方、ドイツの問題は実際の運動をモデル化し、事象を数学的に解釈することに重きを置いています。

以下の表では、4項目に分けて日本とドイツの数学の試験を比較しました。

 

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試験問題の比較
項目 日本の試験 ドイツの試験
試験形式 形式化された問題 現実的なシナリオ
試験時間 短時間
(例:共通テストは1科目60分)
長時間(270〜300分)
計算方法 手計算、電卓禁止 電卓使用可、CAS電卓
重視する能力 正確な計算力、公式適用 問題解決能力、実践応用

 

試験問題に非常に多くの差異があることが分かりましたね。

では、これらの差異が生まれる原因は何なのでしょうか。

次はカリキュラムと教育方針の違いに注目してみましょう。

 

カリキュラムと教育方針の比較
項目 日本の教育 ドイツの教育
カリキュラム 中央集権的 州ごとに異なる柔軟性
教育手法 授業中心、理論重視 ディスカッション、プロジェクト学習
理論と実践 理論理解、公式暗記 問題解決能力、実践応用
教育の一貫性 高い(全国同一基準) 州ごとに異なる

 

試験問題の比較と同様に、差異が多く見られました。

特に、ドイツの数学教育が「ディスカッションやプロジェクト学習」に力を入れている点が気になります。日本にも取り入れていきたい教育手法ですね。

 

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日本の数学教育は理論的な理解と計算力の正確さに重点を置き、形式化された問題を中心に学びます。一方、ドイツの数学教育は現実的な問題解決能力を重視し、電卓の使用やディスカッションを通じて理解を深めます。これにより、試験問題の傾向も異なり、日本は計算力と理論の適用ドイツは現実的なシナリオと問題解決能力を問う内容になっています。

 

日本の数学教育の一番の課題は、試験問題を解くことに重点が置かれているため、実生活での応用(モデリング)が行われていないことです。試験がゴールになっている以上、試験の傾向が教育体制に大きな影響を与えることは明らかです。

ドイツの試験問題には、日本の課題を打破するヒントがあるかもしれません。

日本もドイツのように現実的な問題解決能力を重視する試験問題にシフトすることで、学生が数学をより深く理解し、実生活で活用できる力を養えるようになるでしょう!

教育に正解はないからこそ、互いに差異を理解し合い、良いものを良いものとして受け入れる姿勢が大切です。

近い将来、日本とドイツの数学教育のエッセンスを掛け合わせたカリキュラムで勉強した子供が、世界一の自動車メーカーを作る日が来るかもしれませんね。